
柳沢 源内

Following the development of the high power miniature engine, GEN125,Engineering Systems Co.is currently in the process of developing the GEN-H4, a compact, versatile single seat co-axialcounter rotating helicopter. With a multitude of possible applications in commercial andrecreational uses, goals such as simplified controls, mechanical simplicity, and minimalmaintenance has been accomplished in the process of its evolution.
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本日はヘリコプター技術協会のヘリジャパン2002において発表の機会を与えていただき誠にありがとうございます。まずもって感謝申し上げます。
私は最初からの航空機・ヘリコプター技術者ではなく、モーターサイクル、特にモーターサイクル・エンジンの開発設計者としてスタートし、その後超小型のエンジンを数多く世に送り出した経験のある者です。超小型エンジンについていえば、ブッシュカッター、チェーンソーなどパワフルかつ軽量小型な、いわゆる最も日本的な製品において、私の設計したエンジンの流れを汲むものが世界中で数多く採用されています。
1970年に現在のエンジニアリング・システム鰍設立し、LSI、LCD、MPU、MCM 等の製造装置および検査装置などの自動機械を数多く供給して日本の電子機器産業の裏方を支える仕ことをしております。
1985年、会社設立15年目に当り、21世紀までに何か当社のライフワークになる機械を作りたい、自分の最も得意とする技術を使って、諸外国、殊に技術先進国でやっていないもの、日本の独自性を生かした技術開発でありたい、先端技術分野でありたい、しかも自社の経済的に手の届く範囲で、と考えた末に、超軽量小型高性能エンジンを作り、空へ挑戦しようと決心をして、15 年間で空を散歩できるようにしようと計画をしました。充分に軽く、小型でパワフル、信頼性の高いエンジンの開発から始めました。その諸元は2サイクル、2シリンダ、水平対向型125cc、出力10馬力、回転数9,000rpm、 常用重量4kg以内と設定しました。
特徴はクロームメッキ、ライナー付アルミシリンダ、マグネシウム・クランクケース、ダイヤフラム・キャブレター、細いクランクシャフトのビルドアップ型(ねじれ防止のため電子ビーム溶接にて補強)、自動進角付CDI 点火システム、強制冷却ファンとカウル付、遠心クラッチ付(セルモーター取付可能)です。結果、3.7kg、10HP、9,800rpm(補機なし)で完成。50−50−50 時間の耐久テストを繰り返し、TBO200 時間の保証できるものに88 年年末近く仕上がりました。それがGEN125エンジンです。
翌年春このUnitを使い、ハンググライダーの平地よりのTake off に成功し、空の散歩を実証しました。この時のプロペラ直径φ1,000mm、スラスト35kgであった。10 馬力で人を空に上げることができると確信を得ました。
その後パラグライダーの平地よりのTakeoffを試し、プロペラ・エンジンを背負い、自転車にて時速100km超の走行を行うなど、あまり金を掛けずにエンジンの実力テストを進める一方、次なるヘリコプターの構想をまとめ始めました。
自転車の動力としてエンジン・ユニットを使用日本的な超小型ヘリコプターの使い方としては空撮用とか農業用がまず考えられています。その頃農水省もエアスプレー・システムとして開発を助成しておりました。それ等は模型の域を出ないように総重量100kg以下の制限付で開発が計画され、その結果今日の農用ヘリとしてベル、ヒラー型でローター径3,000mm、乾燥重量40kg、ペイロード15kg程度にまとまっております。
私どもも軽トラックにて移動できる大きさ、小さなガレージに格納できるような小型で、しかも60kgのペイロードを目標に、そのうえ他社で作っていない形式のものと考えを巡らせた結果、フライング・ソーサー型の荷物運搬型ヘリが最適と考えるに到り、同軸二重反転型を開発することに決定しました。
フライングソーサー型ヘリコプタ二重反転型はシングルブレードに比較して翼面積を稼げるため、ローター径を小さくできる分小型にできることと、テールローターのない分見物人を危険にさらしません。しかもホバリングの安定性に優れていると聞いていました。
模型の二重反転ヘリ、ロシアのカモフなどの写真を見比べる時、何とも上下ローターの間隔の広いことが気に入らず、ローター間隔を狭くする努力をして姿をきれいにまとめたいと考えました。そのためにはローター回りの剛性を大きくすること、コーニング、サイクリック・ヒンジの無い、固定ピッチ方式を採用することとしました。
固定ピッチのローターヘリの操縦はできるだろうか? 操作性は、安定性は、どう保てるのか? 一つの解はジャイロプレーンの操作方法と同様にローター全体を傾けることにしてテストを始めました。
6軸センサーによる各分力の検討1994年:このころから試作品を製作し、日曜日毎にテストを始めた。最初はクレーンより吊り下げて浮力(推力)チェックより始める。浮上はしたが安定して浮いていない。水平も持続しない。
出力パワーを大きくして60kgの人間を吊り上げてみた。下が重いと少し良くなるが、まったく意のままにならない時期が続く。ある時クレーンによる吊りをやめて人間だけが吊下ってみたところ、まったく風船につかまって浮いたような感じでホップ、ステップと体重0で歩けたことがキッカケで、人間用一人乗りヘリ開発へと進むことになる。
1995年:一号機はインライン6気筒(自家製エンジン)出力30HP、ローター径3m、二重反転ローター傾斜操作型。背モタレとサドルおよび地上着地時のスタンドを有する型に仕上げる。自社の敷地内で、ヘリ免許を有すスタントも好きな友人に頼んで試してもらう。
初浮上浮上に成功した。この時の彼の感想はYAWは思うようにならないが、水平バランスは良くできる。左右は動けるようだ。そして曰く、本物のヘリより楽に飛べそうだ!
この一言が一人乗りヘリに深く入っていくキッカケになった。まずYAWを意のままにしたい。前進速度も不十分な状態でラダーを取り付けて見たところ、風見鶏効果しかなく横風に振り回される害の方が大きく困惑した。Downwashを有効に使えないかとか考えを巡らして沢山の試作をしたが、これはついにうまく行かず、後日放棄することになる。YAWのコントロールを自在にするには上下ローターの回転数を自由に変更できる装置を組込むのがBestであることは良く判っていたが、この動力をどこから得ようかと思い悩みながら多くの時間をロスしてしまった。
1996 年:この年の初めより2年間の間、YAWコントロールのため、差動トランスミッションの計画をし、同時にパワーアップのためにエンジン・ユニットを3から4ユニットにしてパワープラントのスタイルを整え、これを頭上に置くことにした。結果はプロペラシャフト系、ユニバーサルジョイントよりの振動発生をなくすために非常によかった。
GEN H-4 初期型1997年:夏も終盤のオシコシに向かう成田空港で電動モーターを使う方法を決心し、技術マンガと共に設計を指示した。ついでにジャイロからの信号により、ヘディングを一定に保つ方法も同時に採用することにした。
差動トランスミッション周りの軽量化計画を実現するために計算と部分テストを繰り返し行い、最終的にミッションの伝達能力95HP計画値、重量15kgを実現し、耐久テスト50−50 時間を完了した。因みにエンジンよりの出力は遠心クラッチを介して4ヶのスパイラル・ベベルピニオンギヤM=2.5により4方より導入され、上下に噛合っているスパイラル・ベベルギヤをCW、CCWに回転を与える。内部に組込まれた2組のプラネタリーギヤ群M=0.75、18ヶのプラネットギヤのリテイナーをモータードライブすることで上下ローターの差動を行うことができるようになった。
ミッションケースのギヤ、出力シャフト等は我々の近くに在住する精密外注工場群で試作から量産まで容易くできるのだが、ブレードの設計と生産には相当の困難があった。翼形の決定に際して模型用を入手して調査してみたところ迎え角0°条件で
揚力係数 頭上げモーメント 模型1
-0.133 0.046 揚力がもっと大きく、頭上げモーメントの絶対値の小さいものを求めてグライダ翼に使われる薄い翼に行きついた。エップラーE-184 の翼型をみつけた。
揚力係数 頭上げモーメント E-184
-0.069 0.033 E-184のデータに従って石膏型を作り、スタイロフォームを熱線で切り抜き、これを芯にいれてCFクロスを張りつけてハンドレイアップでまず作ってみた。
前縁に真鍮線を入れ、桁部の上下はカーボンロービングで補強して直径3mの翼が完成しテストする。
ローター下の風速が先端部で10mに及び、馬力消費が大きいようだ。
この翼で最大のパフォーマンスを出す条件として捩りさげを4.5°にして、できるだけローター下の先端部の風速を抑えることにして、9m/s以下、できれば8.5m/sにしたい。実験の結果、付け根の取り付け角を12.5°が最も効率がよく、消費馬力13.6HP、推力は100kgを得た。
より高性能のローターを作るために調査を進める。ブレードの形状を決めるパラメーターとして捩り下げとテーパー比であることを知り、テーパー比0.3程度が性能が良くなることが分り、これを採用する。
また安全に75kg程度の人間を浮かすには二重反転型として、上下のローターを合わせて180kg程度の推力を欲しいと考えた。少なくとも一段で120kg以上の推力を出さないと二重にした場合180kgの推力が確保できないことが判り、ブレードの延長を計画し、ローター径4mとする。ブレード諸元は次のようになっている。
金型を作って手作りで生産している。この他ローターの静バランス、動バランス、空力的バランスなどの調整は全て自家製の機械で行っている。
フラッター防止などにはストロボ撮影で捩れ、曲げに弱いところに極部的にクロスをバイヤスに張りつけて捩れ剛性を付加している。
地上におけるローターの水平保持について。4エンジン頭上型になった第一世代はユニバーサルジョイント式のジンバルを有していた。地上に係留している時にローターが傾き何とも無様であった。常にローターが水平になるように上下ローター間にピボット中心が来るようにR型のレールをロール、ピッチ方向に配置して改良した。
これは後にTake off時にハンドル・レバーの握りの力を緩めて機体まかせで素直に上昇できるし、又はランディング時も同様4ヶのスタンドは比較的平均に地面に接地できて効果的であった。その上もう一つの特徴は、空中でも無風に近いホバリングでは手離し操縦のできる唯一のヘリコプターであると考えている。ホバリング、スクウェア操縦、8字操縦ができるようになった。次は速度前進である。
車載テスト高速に対するヘリの挙動を調べるために、トレーラーに機体を固定して車両を使って30〜80km の速度で走行してスティックの軽い角度を割り出し記録し、次にその角度に固定して同様に走行し、バネ秤でスティックの受ける力を指示させ、ある速度範囲ではどの位ローター傾きが素直かを調べた。
その結果は前進速度とローター傾き角には吊り合う範囲がはっきりとあり、充分に80km/h程度まで高速前進ができると考えられる。人間が操作した角度、バネ秤、指示値等はすべてビデオ解析で後刻理屈づけを行う方法で判定を下している。
1996 年:オシコシ出展の顔みせ、1997年には来年は飛ぶよと予告をする。1998年オシコシ・エアベンチャーのULフィールドにて初飛行を行い、8分程度のホバリング、YAWコントロールの効き等を披露し大いに注目を集めた。新しいものに喝采を惜しまない米国の人達の姿勢に大いに感激した。
もう一つULフィールドの責任者の一存で、OLの飛行をすべて止めて我々の飛行を許可し、飛ばしてくれた。権限と責任の取り方についても大いに感じ入ったものだ。以後1999 年のオシコシ・エアベンチャー出展、飛行、2000 年カッパーステート・エアショウ出展、飛行、2001年と2002年にはサンファン・エアショーに出展、飛行を行った。
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1999年オシコシでの飛行
こうして米国での実績を積みながら操縦性の改良に力を入れている。Power plant、Trans mission およびローター部の重量とその下に吊下がっている乗員を含む機体の重量が比較的近似しているためか、操作スティックの操作に伴い機体も引張られる現象があり、体重移動の操作のような操舵の利きのにぶい感じがあった。
R-ed Rail(曲面レール)gimbalの曲率を変更して上部重量の重心移動の無い位置に合わせることにより、操縦性は非常に改善されて機体および乗員の揺れを減ずることができた。同時に空中で手離し運転ができる程になった。
一方エンジンも2サイクル特有の排ガス中のHC、COの排出を極力抑えるべく排気カデナシー効果を利用し、掃気の始まる前に新気による掃気期間を作り、混合気の吹き抜けを極力小さくして、カルフォルニア規制をクリアできるレベルに到達している。現在はこのエンジンの耐久試験を始めたところである。
我社では自動化機械の製造中に修得したPico Literの油量噴射とか、Micro Literの燃料の噴射技術を有している。これらを組み合わせて新しいクリーンな2サイクル・エンジンを近い間に手にすることができる。もちろん燃費は4サイクル・エンジンに非常に近いものになるはずである。
また、トランスミッションはオイルのセルフ・サーキュレーション、クーリングとフィルタリングを組込み、オイルの劣化を防ぐ方法を取り入れている。
この間パワープラント、ミッション共にTBO200時間を保証できる状況に到達している。ブレードも100時間の耐久をクリアするところまで来ているのが現状である。
現在まだまだ越えなければならないハードルもある。まずこのヘリの実力の範囲の見定めができていない。いわゆる運用限界の設定をするためのテストをする必要がある。どうしても無人飛行により飛び方の限界を見定めなければならない。現在はこの無人(リモート運用)の操縦に力を入れている。
このヘリの持つ可能性は無限にあります。特に現在の日本のように、都市部において慢性的な交通渋滞問題をかかえており、また大きな滑走路やヘリポートを確保することができない状況では、都市交通としてこのヘリは充分に機能できるものになっていくでしょう。また非常に小型のため運用がしやすく、一台のトラックで多数の機体を運ぶことも可能です。
大地震など、都市機能がマヒするような災害時には車が入れるところまでヘリを輸送し、それを現地で人力で組み立て、車がはいりこめない災害の中心部に空中から入っていくといった、コミューター的な役割を果たすこともできます。通常のヘリコプターに比べて安価なため、小さな自治体でも運用が可能です。
また、現在機体の性能試験用として開発が進められているunmanned vehicleですが、これをさらに改良し、農用に使用できるように、畠の畝に沿って、ずれることなく往復できる散布ヘリを作ろうとしています。次にGPS信号を取り入れて、ある程度のピンポイントの往復または撮影ができるように、林野の農水の用に供するように、山岳調査の用に供するように、高高度飛翔―寒冷飛翔の用に供せるように、各界の専門家の要請もあり、夢は次から次へと広がっているのが現状であります。
(HeliJapan 2002特別講演より)
HeriJapann2002に展示された本機と、説明する柳沢源内氏。
聞くのは当協会常任理事の牧野健氏。(AHSJapan、2003.8.10)
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