<日本ヘリコプタ技術協会>

2003年秋季講演会

―― 第25回定例研究会 ――

 

 日本ヘリコプタ技術協会は去る10月31日、第25回定例研究会を開催しました。109人の参加者を得て、5題の講演がおこなわれたのち、会場となった電子航法研究所(調布市深大寺)の施設を見学しました。

 以下、講演の概要を、日本航空新聞社の「日刊航空通信」(2003年11月6日付)記事をお借りしてご紹介します。なお、ご希望あれば貴論文のオリジナルを本サイトに掲載しますので、電子原稿にしてお送りください。

ヘリコプターIFRの調査研究――経緯と成果

冨尾 武
(川崎重工業 航空宇宙カンパニー企画本部企画部、ヘリIFR研究会幹事)

 ヘリコプター用IFRの実用化に向けての研究調査は平成7年度以来、航空振興財団の事業もしくは自主研究として継続してきた。当面は、2005年度に予定されているIFR運航の課題として、運航重量(OGEホバリング重量の95%以下)や予備燃料、最低巡航高度(MEA)の引き下げなど、法規の整備、防除氷技術の開発、特にGPS航法装置の実用化と装備を促進するための努力をつづけている。

ヘリコプターのIFR飛行を支援する次世代システム

山本憲夫
(電子航法研究所電子航法開発部援助施設研究室長・上席研究員)

 電子航法研究所では、SBAS衛星型補強システム、GRAS地上型補強システム、ヘリコプター用障害物探知・衝突警報システムの三つを研究中。前2者については、仙台空港で行なった実証飛行データをもとに、空港に補正局を設置すれば現行のカテゴリーVに相当する精度を確保できる。また赤外線カメラとミリ波レーダーを併用する衝突警報システムについては実証テストを終了し、搭載品の試作を進めている。16〜17年度にかけて実機に搭載して飛行テストを行ない、有効性を確認したい。

ヘリコプターIFR航法機器

玉中宏明
(パイオニアナビコム取締役航空関連事業部長)

 日本国内のGPSマップ装置の普及と今後の対応について報告。米国アラスカでは小型航空機向けGPS航法のテスト運用がおこなわれている。この地域は、地上および海上の交通体系が未整備で、航空に依存せざるを得ないが、とりわけ気象条件が厳しいため、GPS航法の実用化が強く望まれている。ジュノーを中心に第1段階ではADS-B、2003年3月からの第2段階ではWAAS対応で運航している。そのためS-FAR97という新たな規則をつくり、GPS用に引き下げたMEAをチャートに書き加えるなど、新しい動きが見られる。

ヘリコプターIFR運航の実際

和田 修
(朝日航洋東京航空支社長)

 朝日航洋では、トヨタ自動車の社内ヘリコプター便を定期運航しているが、そこで実際に使われているIFR飛行の実情と、その経験から得られた今後の課題は次の通り。トヨタ本社の所在地、元町工場からテストコースのある東富士を結ぶヘリコプター便は、新幹線で4時間、高速道路で3時間以上の距離を、1時間で移動できるので、業務の効率化には不可欠の手段となっている。

 そこで定時性の確保、就航率の向上をめざして、平成11年9月から試験的にIFR運航を導入している。ただし計器飛行は河和VORTACから焼津NDB間で、飛行高度は7,000〜9,000フィート。本来の目的である就航率を上げるためには、ヘリポートでも計器進入ができるようにすることが必要で、ポイント・イン・スペース方式の導入などが求められている。

ヘリコプターの視界増強システムについて

横倉修一
(富士重工業航空宇宙カンパニー第1技術部ヘリコプタ第2課長)

 消防・防災ヘリコプターやドクターヘリの普及に伴い、夜間運航の必要性が高まることを念頭に、3年前からFEVS (Fuji Enhanced Vision System)の開発に着手した。同システムは微細な光を増幅する夜間暗視装置(NVG)が実用化され、すでに第3世代の製品が実現、ベル・ヘリコプター社の訓練センターでもNVGを使ったEMSコースが設けられている。

 富士重工業では、これとは別の方式、8〜12μの赤外線カメラをステレオ方式とするシステムを開発している。すでに個々のユニットは実証テストがすんでおり、カメラの距離を1mとすることでパイロットの視野を確保しつつ、正確なレンジングも可能になり、障害物の探知も十分にできることが確認されている。近いうちに実機によるテストを計画している。

(「日刊航空通信」2003年11月6日付より要約)

仮想現実実験設備

  人の感情や疲労の変化から声の違いを視覚化し、グラフにする実験設備。
この装置で,パイロットや管制官の声を常に分析していれば,
人が疲れて間違いをしやすくなる前に,休憩や交替の指示を出すことができる。

(AHS Japan、2004.2.2) 

 

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